ハンナ

 ハンナ(HANNA)…「16歳の少女ハンナ、罪を知るには早すぎる」みたいな感じで副題が付けられていました。鑑賞する前にストーリーをチェックすると、この手の映画(少女が殺人マシーンになるという設定)はよく見かけるのでそれほど食指が動いていたわけでは有りませんでした。ところが妻の「これは見るべきよ」の一言で二人で映画鑑賞に出かけることに成りました。 

 不思議な事に妻が「これは面白いよ」と言った映画にはこれまで外れが無かったので、ほんの少しだけ期待して映画館に到着、いつものようにドリンクを用意して準備万端と言った感じです。

 話は少し変わるのですが、広島の八丁座と言う映画館の椅子はゆったりと余裕が多く、前後だけでなく横も十分なサイズなので大好きな映画館です。 

 広島だけに限らないでしょうが都市の中心部にある老舗映画館は徐々に廃れていき、寂しさを覚えます。ところが広島の「序破急」だけは中心部で頑張っている映画館で、他の映画館との差別化で生き残りを図っています。

 ふと思い出したのですが、この映画館の経営者は昔から「名作」と呼ばれる映画だけを取り扱うことで有名でした。もう四半世紀前の話ですが友人と広島の鷹野橋にある同列映画館に映画を見に行った事があります。

 その流れを受け継ぎながら現在の活動として、中心部の映画館が廃館になると、借り上げては自らが経営を続けています。無論、時代の流れと言うものはありますが、地方都市、広島の中心部に映画館が全くない、と言う状況だけは避けられそうです。ちなみに合計すると4館ほど上映する設備を持っていることに成ります。 

 さて話は脱線しましたが、よくあるストーリーだろう、と言う予測の基、妻に誘われるまま鑑賞した映画「ハンナ」でしたが、実はこの映画を見終えた時、私の中にある大きな勘違いに気付きました。映画を決める要素はストーリーだけではなく映し出される場面と音響により効果、これらすべてのトータル的な合計値で語るべきだという点です。 

 鑑賞した映画の感想を書くことに成ってまだ一年が過ぎていませんが、文章表現する必要性の為、どうしても自らに拘りがある「ストーリー」ばかりに目が行っていました。ですが普通に考えると映画は動画ですから場面の描写も重要であり、耳から届く音、あるいは音楽も重要なファクターであるのです。そして妻が時々いう「この映画は面白いよ」と言う言葉の裏には場面の描写が含まれていたのです。 

 実を言えば妻の仕事は広告の製作です、様々な色と形を組み合わせて新聞に入れるチラシの原稿を作成しています。簡単に言えばデザイナーという訳で、普通の人よりは色使いには詳しい。そして映画のパンフレットなどに使われている色を判断材料にして「これは面白いよ」などと私に告げているようなのです。もちろん本人はこの点について気付いていないようですが、私とは違う面から映画を判断するので、私とは違う面から映画を推薦しているのです。 

 そしてその言葉通り、映し出される場面の妙に私は引き込まれていきました。先ほども述べましたがストーリー自体に大きく奇をてらったような展開はありません。ですが逆に安心できるというべきか、映画の中に素直には居れるというべきか。最後まで飽きることなくすべてを見届ける事が出来ました。 

 ちなみに場面の妙と言うのは言葉では説明できません。小さな隙間から覗いている視線にどれだけの魅力を感じるべきなのか、これは個人々によって違いますので、いくら言葉で説明しても理解されることは難しいでしょう。ヘリコプターのスポットライトが小さな小屋を光線の力で浮かび上がらせる。基地から抜け出すと砂漠地帯だった時の焦燥感、無表情であたりを見渡すハンナ、これらは全て計算された映写だったのです。 

 そして同時に効果を高める音響。飛行機が低空で横切るときの音がどれだけ身体に響くのか? この小さな疑問を映画の中では体験する事が出来ます。もちろん最初からこの体験ができると分かっている訳ではなく映画の中に引き込まれるからこそ、普段の生活とは違う異次元空間を楽しむ事が出来るのです。映画の面白さを再確認したいと思った時にお勧めの映画だと思います。

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