モールス

 R15指定です…モールス…良い意味で完全に期待を裏切った映画である。初めてwebで予告を編見た印象や、映画館に掲示されていたポスターの文面から、完全なるホラー映画(スリラー)だと思い込んでいた。このような印象を持った原因の一つに、日本独特の洋画評論に要因があるように思う。要するに日本向けに解釈をした文章、あるいはキャッチフレーズを採用するために、それを見てから映画を鑑賞する立場となる観客が、事前に想像する内容とは全く別物になっているという現象である。

 要因の一つに挙げられるのが言語文化の違いがある。最近の若者であれば英語に対する違和感はほとんど覚えないだろう。その一方で団塊の世代と言われる年齢の方には英語に対する拒否感がある方もいるだろう。そういった方々を平等に考えると、やはり英語に対する知識が乏しい方を基準にするしかない。その為に本編のタイトルも無難な「モールス」となっている。 

 まだ映画を見ていない人には申し訳ない面もあるが、モールスと言うタイトルは本作品には似合わない。映画を製作した当初、原題は「Let me in.」だったから、日本国内でも同じタイトルをつけた方が無難だったかもしれない。もちろんこれは映画を見た後での感想だから、多くの国民の支持を得て、観客動員数を増やすためにはある程度の脚色はしょうがないと言える。 

 ただ、いまだから言える事は決して本作品はホラーではないし、もちろんスリラー映画でもない。れっきとした恋愛映画である。ただ登場する人物がほんの少し、変わっていて、現在を生きる人物には似合わないだけの話であった。さてせっかくなので、個人的な見どころを何か所かお伝えしておこう。 

 先ほども述べたが、本作品に怖さを求めても無駄である。例えば、怖さとか不気味さなどは、映画の撮り方でいくらでも表現できる。もちろん全くの素人が撮影すれば無理だが、ある程度知識と経験がある人なら、そこそこの、ホラー映画の撮影はできる。要するに怖さ、恐怖と言うのは人間の心が勝手に想像するだけで、本当の意味で恐怖の基となる「何か」と言うのは実存していない。 

 もう一度言うが怖さとは人間が勝手に想像するから感じるだけの話だ。だからその心理を突いた映像を撮影する事が出来れば、恐怖映画は完成したも、同然である。さて話の筋が外れた、本編の見所は前半と後半に分かれると思った方が良いだろう、良い意味で言っているのだが、見始めた当初と場面に変化がある頃、そして終盤に向かって、鑑賞する人物の心理に大きな変化が生じるだろう。 

 最初は重低音の影響は事前のリサーチなどから勝手に想像している「恐怖」だろう、だがそれも、肩透かしを食ったような感じで「別の何か」に興味を惹かれるに違いない。主人公「アビー」の正体に知りたくなる。だが正体を知ったからと言って怖さを感じる前に愛おしさを覚える人が多いに違いない。これも主人公「アビー」を演じる「クロエ・グレース・モレッツ」の演技力だろう。とてもチャーミングで独特のかわいらしさがある。 

 そのアビーに観客も心を奪われ、次第に彼女の本性を知ることに成る。そしてもう一人の主人公「オーウェン」の心理が変わっていく姿にも注意が必要だ。正確に言うなら、アビーに逢った時から彼の心は揺れ動いていたに違いない。と言うのも彼は気の弱さから、友達らしい同級生は居ないし、近所にも一緒に遊ぶ仲間は居ない。そんな彼とアビーが出会うわけだから、恋心を抱いても全く不思議ではない。 

 むしろ恋心を抱くようにアビーが糸を引いていたのかもしれない。そんなことを思うようになった頃にきっと、多くの人は重大な事に気づくに違いない。この辺りはネタバレになるのではっきりとは言えないが、ここで感じたことがクライマックスでの事件と大きく関わってくる。つまりオーウェンは彼の人生と引き換えになるぐらいの決心をすることに成るのだ。 

 見どころをかいつまんで紹介してみたが、少しでも興味の湧いた人は今すぐ映画館に行こう、もしも既に上映期間が終わっていたなら、DVD or BDの発売、レンタル、あるいは中古での入手、オークションなど、あらゆる手を尽くして本編を入手し、じっくりと自宅で鑑賞することをお勧めする。なお見る時間帯は夜をお勧めする。その理由は本作品を鑑賞すれば分かる事だ。

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